あの時とこれからの日常
「阿呆らし…」

はあ、という盛大なため息とともに莉彩が額に手をやる

結局バカップルか、こいつらは

「てか、わかってるなら教えてくださいよ、昨日」

あの時点で教えてくれれば、今日一日こんなに悩むこともなかったのに

「ああ、常盤さんの移動のことを考えてたら、つい」

悪い悪い、そういって笑う海斗は、確信犯か

「もう黒崎先生としるふのことにはこれと言って口出ししないことにしますね」

体力の無駄ですね

「懸命だと思うぞ」

と頷く海斗の隣で

「えー、それだと私が困るかな。莉彩しかいないもん、海斗の愚痴言えるの」

「そろそろ飯田に迷惑かけるのも大概にしておけよ」

愚痴くらい聞いてやるから

「イ、ヤ。だって、海斗、わかったわかったとか言ってろくに相手にしてくれなんでしょ?それじゃ逆効果だよ」

「愚痴なんて所詮口に出して言うっていう行為に意味がある。相手の反応なんてなくても変わらないさ」

「なにそれ。私痛い人じゃん。はたから見たらひとりでしゃべってるも同然だよね?」
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