あの時とこれからの日常
そんなこんなのバレンタイン おまけ


「んー」

自宅の棚に設置されたお菓子ボックス

しるふの秘密の癒しの場所だ

ここからお菓子をあさり、味わうのが密かな楽しみ

いつもはお菓子と言えど、種類も豊富で気分によって何を食べるか選択できるそこは

この季節になるとチョコレートで埋め尽くされる

そしてその無駄にお金をかけられたチョコたちは

しっかりとしるふの胃袋に収まり、結果しるふの体重増加に加担することになる

「海斗は甘いもの苦手だって何度言わせるのよ」

腕を組んで、今年も文字通り山のように積みあがったチョコレートの箱を見つめ、

しるふは、つぶやく

相手に聞こえることは決してないから、

送られてくるチョコが増えることはあっても減ることはないとわかっているのだけれど、

そうつぶやかずにはいられない

「そもそも、そんなことも知らない女をあの淡泊男が相手にするわけないのよ」

そうじゃなかったらこんな風に付き合ってなんていられない

わかっている自分はとても心が広いと思う

だって、やっぱり嫌じゃないか

自分の男に見ず知らずの人から高価なチョコが届くとか
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