あの時とこれからの日常
化粧室を出たら敵対心丸出しの女性たちが立っているっていうのは、いろいろと定番

それ以外にやり方ってないのかな、って思うけど

大体の人が考えることって一定の結果に達するものらしい


ふと視線をあげると案の定、しるふよりもお色気を惜しみなく出す様に着飾った何人かの女性たちがこちらを睨み付けていた

やっぱり海斗のそばに居ては、彼女たちは仕掛けてこないか

と、肩から落ちそうになっていたストールを直しながら思う

多勢に無勢ってそれだけで卑怯よ、この根性なし

ひるまずに視線を返しても何も言わないからそのまま横を通り過ぎてやろうかと思う

と、

「認めないから」

はっきりと強い口調で顔を上げてくる

結婚したって恋人だって結局こういう状況に立たされるのは変わらない

でもそこで折れるほどかわいい女じゃないのだ

「結構よ」

凛としたしるふの声に、少しだけ彼女たちはひるんだようだ

いじめてやろう精神丸出しだったのに、少し気圧されたように顔を見合わせる

一人で立ち向かうこともできないあなたたちに認めてもらっても微塵もうれしくないわよ

認めてくれるのは、たった一人でいい
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