あの時とこれからの日常
「あら、黒崎先生なら上に居るわよ?」

「ホントですか?グットタイミング!!」

きっと海斗なら「本人が大丈夫って言ってるんだし、事務くらいならいいんじゃないのか」とか言ってくれるはず

その一言があれば、産婦人科なんて敵じゃないのだ

「しるふ?」

頭上から呼ばれて医局長とともに振り仰ぐと、医局から出てきた白衣姿の海斗がいた

「海斗!」

救世主有りき、と手を振るしるふに

「本当に暇なんだな」

と苦笑しながら階段を下りる

「ねえ、産休取らないでさ、事務くらいやっても良いよね?全然体調悪くないし、体調悪くなったらすぐ休むからさ」

さっそく本題に入ったしるふに海斗と神宮寺が目を合わせる

「ああ、それ。まだ言ってたのか」

坂井やら神宮寺から副医院長室にいても聞こえてくるしるふの話題

産休取れってー、とほほを不満そうに膨らませるしるふのグチは聞いたけど、それについて海斗は特に何も言わずに「仕方ないさ」と頭を撫でただけだ

「ね、いいでしょう。美琴さんに海斗から許可取ればいいって言われたの」

坂井のやつ、手に負えなくなって押し付けてきたな

とほけほけと笑う美琴の顔を思い浮かべる

たいがい、あの女もいい性格をしている
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