あの時とこれからの日常

むっとした瞳で見上げた後、しるふはふっと息をついてから

「いい度胸じゃない、私と祈っていう愛娘がいながらかわいい女の子と歩くなんて」

憤然とそう吐き出す

「かわいい女の子?」

「またそうやって…、パンツスーツの似合うかわいらしい人と歩いてたじゃない」

せっかく祈と一緒に顔を出しに行ったのに

むくれて横を向くしるふの横顔をしばらく見つめた後、

「……ふっ」

思わず吹き出す海斗に

「ちょっと!!笑いごとじゃない!!真剣に怒ってる人前にして笑うってどういうこと!?」

反省の色位見せなさい!!

「あー、はいはい。あの人は新しくうちの担当になった医療機器メーカーの従業員」

「従業員!?なんでわざわざ女の人が担当になるのよ!!」

すたすたとリビングに進む海斗の背を追いながら、くわっとかみつく

「さあ、俺が決めたわけじゃないし。今まで担当してくれた人が転勤だが昇格だがになったらしいんだよね」

「だから!なんでわざわざ女の人!?」

つか、海斗浮気!!

「あのなあ、浮気って言うのは気が浮つくって書いて浮気なわけ」

「そんなこと知ってるわよ」

「だったらどうひねくれて見ればこの状況を浮気だって言えるんだよ」