あの時とこれからの日常
だから機嫌直してー、とこっちまで泣きたくなりながら海斗そっくりの黒髪を撫でる

「うー、海斗。祈が機嫌を直してくれない…」

「しるふがつまらんことでヤキモチなんて焼くから」

「なんですって?誰がヤキモチなんて焼いたのよ!しかもつまらないこと?」

「だから、そうやって大きい声を出すなって…」

せっかくあやしてもこれでは追いかけっこではないか

海斗に言われてうー、と口を閉じるしるふは、それでも抗議の瞳をしている

「海斗が悪いんじゃない」

「そうですね。…だいたい、いろんな意味で従業員の目が光る黒崎病院で浮気なんてできるわけないだろ」

したら即、誰かがしるふに伝えるに決まっている

いらんところでしっかりと連携の取れている我が病院だ

「わかんないじゃない。どんどん黒崎病院の中の人が入れ替わっていったらさ、私を知ってる人だって少なくなっちゃうし」

もしかしたら従業員の中から海斗に手を出す人も出てくるかもしれない

「なんで結婚してまで海斗の浮気を心配しないといけないのよ…」

普通、結婚してるっていろんな意味で鉄壁の防御だよね

「一回も浮気したことないんだけど。それにしるふが勝手に心配してるだけだろう?こっちはお互いに仕事上の付き合いだけだし」

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