あの時とこれからの日常
「そっか。じゃ、会社入ったら見つかるかな?」

「ああ。きっとな」

そう言って朝灯の頭を撫でる

しるふそっくりのブラウンの瞳が、この時だけは幼く映る

「じゃあ、がんばろー。父さんみたいな男落とすんだもんねー。ねえ、他に秘訣ある?」

「それは俺じゃなくてしるふにすべき質問だろ」

「聞いたよ。そしたら、え?海斗みたいな男落とす気なの?もっと優しくて思いやりがあって連絡もちゃんとくれる、隣に居てああ、愛されてるなって思える男にしなさいよって」

のろけだよね

しるふのその時の口調をそっくりまねる朝灯に、海斗が苦笑する

なんとしるふらしい回答だろうか

「ちょっと、父さんに男事情相談するために帰ってきたの?」

背後で姉・祈の声がする

「ああ!!そうだよ!!父さん!!母さんが!!!」

「しるふ?」

あいつがどうかしたか、と朝灯を見下ろす

「さっき母さんを見かけたの!!」

「ああ、あいつなら今出かけてるから別に不思議じゃないけど」

「違うよ!!見知らぬ男と歩いてたの!!」

「男!?」

悲鳴を上げたのは海斗ではなく、祈だ

ソファから立ち上がって朝灯の隣に並ぶ
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