あの時とこれからの日常
泣き虫と意地っ張り
たとえ何人の人を救おうとも自信なんてこれっぽちもないし
逆に何人の人を見送ろうとも感じる無力感に慣れるわけもない
切り替えろって言われてもそう簡単に出来るわけない
切り替えなきゃっては思ってる
いつまでもずるずる引きずってるわけにはいかないんだ
今、目の前にいる患者さんに全力を尽くすことがしなければならないことだから
でも、理想と現実は違う
思ったようにできないのが私という人間なんだ
「お疲れ様です」
椅子に乗せていたカバンとジャケットを手に持ちながら医局に残っている数人を振り返る
パソコンや雑誌等に落としてきた視線を上げつつそれぞれが返答してきて、
それにもう一度軽く頭を下げた後、医局を後にする
「黒崎先生、お疲れ様です」
医局から出て階段を下りていると、看護師の飯田莉彩がちょうどICUから出てきたところだった
「お疲れ」
その短い会話で終れてしまうところに過ぎた時間の長さを感じる
シュッと音を立てて開いた自動ドアの外は、薄闇にのまれていた
小さく息をつきつつ、帰路を歩きながらスマホを取り出す
逆に何人の人を見送ろうとも感じる無力感に慣れるわけもない
切り替えろって言われてもそう簡単に出来るわけない
切り替えなきゃっては思ってる
いつまでもずるずる引きずってるわけにはいかないんだ
今、目の前にいる患者さんに全力を尽くすことがしなければならないことだから
でも、理想と現実は違う
思ったようにできないのが私という人間なんだ
「お疲れ様です」
椅子に乗せていたカバンとジャケットを手に持ちながら医局に残っている数人を振り返る
パソコンや雑誌等に落としてきた視線を上げつつそれぞれが返答してきて、
それにもう一度軽く頭を下げた後、医局を後にする
「黒崎先生、お疲れ様です」
医局から出て階段を下りていると、看護師の飯田莉彩がちょうどICUから出てきたところだった
「お疲れ」
その短い会話で終れてしまうところに過ぎた時間の長さを感じる
シュッと音を立てて開いた自動ドアの外は、薄闇にのまれていた
小さく息をつきつつ、帰路を歩きながらスマホを取り出す