gardenquartz 小さな楽園

和樹は森をさ迷っていた。
碧さんを完全に見失ってしまったのだ。
負傷した碧さんを早く見付けなければ…。
森を駆け抜けながら気配を探っていた…。


碧さんならこんなときどうする?


和樹は走りながら懸命に考えたいた。
出血している。


血の後を追われたくない。
和樹は走るのを止めて立ち止まった。
鬱蒼とした森……。
和樹はゆっくり回りを見渡す。
何処かに碧木の痕跡がある筈だ。


和樹は気配を消し、目を凝らし、耳を立て、鼻で辺りの空気の匂いを嗅いだ。


【こっちだ!!】


和樹は走った。碧木が居る窪みに向かって…ひたすら走った。



顔に冷たいものが当たった。
雨が降ってきた。


和樹は確信したかの様に森を駆けていった。







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