gardenquartz 小さな楽園
ディーンはSPに上手く紛れ込めた。
SPなら本部にも出入りが簡単だし、Twinsの行方もいち早く分かるからだ。



この中で俺の顔を知っているのはジョナサンしか居ない。
つまり、ジョナサンに知られなければトントン拍子に事が運ぶ。


ディーンは機会を伺いつつ、チャンスを待っていた…。
もうオチビちゃんみたいな運命を誰にも背負わせたくない。


ディーンは初めて碧木に出会った時を思い出していた。


世の中全てを敵と見て憎しみと怯えと、激しい怒りの目をしていた。
ジョナサンはそんな組織を道楽で造り上げた。
ただ自分の退屈した人生の僅かな気紛れで人間を互いに争わせ憎しみ合わせた。


アイツだけは、この俺が一緒に地獄へ連れて行く道連れの相手だ。
アイツは悪魔だ。死神と呼ばれた自分にはお似合いの連れ合いだろう。


ディーンはふと口の端しを僅かに上げて笑った。


あのオチビちゃんを変えたのは、俺じゃないことが残念だが、あの坊やにくれてやろう。
オチビちゃんを任せられるのは、あの坊やにしか出来ないことだろう…。


ディーンは他のSPと一緒に本部に向かって行った…。



ジョナサンが自室でモニター越しにディーンを見ていることも知らずに…。






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