gardenquartz 小さな楽園

雨雲が容赦なく島を覆っていた。
ムッとする湿気が更に空気を重くさせ不快感が増し、体力を奪っていった。

碧木は窪みに身を押し込め、息を殺し、和樹の行方を心配していた。



カサカサ……。



茂みの動く音で、碧木はペイント弾とブラックジャックを手に身構えた。


現れたのは、和樹だった。
ずぶ濡れで、碧木を見つめていた。
体が震えている。

『和樹！！』

碧木は窪みから飛び出し、和樹を急いで、自分の居た窪みに入れようとした時、和樹は碧木の両腕を掴み碧木を見つめた。

『私は大丈夫よ。』
碧木の言葉を聞いた和樹はその場で倒れた。
碧木は和樹を抱き起こそうとして気付いた。
和樹の体が雨に濡れて冷たい筈なのに、額は熱い。
熱がある。


碧木は和樹を窪みに連れていき、濡れたTシャツを脱がせて、着替えさせ、抗生物質を飲ませ、寝袋で体を包んだ。

当分止みそうもない雨を碧木は憎々しく見上げて、森の中に走っていった。





俺はどうしたんだろう？
和樹は視界が朦朧としている中、碧木の姿を見つけ、急に力が抜けて、倒れた。
俺は碧さんを見つけたのか？


体が熱いのか？冷たいのか？分からない。
真っ暗な闇の中、自分を呼ぶ声がする。

『カズキ』『カズキ』

俺は必死に暗闇から抜け出そうともがいた。


誰かが強く和樹を押さえつけていた。