gardenquartz 小さな楽園
Twinsは始めから特別に扱われた。
キャットやジェシー、ベラ、クリス達が血の滲むような訓練を体が動かなくなるまでさせられている同じ時間にTwinsは庭で兄妹で戯れていた。
幼いながらも、この差別的な待遇に始めに怒りを行動に起こしたのはキャットだった。
キャットは薄暗い部屋から抜け出し、Twinsを襲撃しようと脱走した。
Twinsは庭の温室に居た。キャットは温室に忍び込み、Twinsの様子を伺った。
そして、息を飲んだ。
Twinsは笑顔で遊んでいた。
確かに無邪気に遊んで微笑んでいた。
人間の死体で…。
キャットはそれを見た瞬間、激しい嫌悪感と恐怖で胃の中のモノを吐き出してしまった。
その音を聞き逃さなかった兄のアーサーがキャットの方に歩み寄ってきた。
とびきりの笑顔を浮かべて…。
キャットは恐怖で身動きが出来ず、その場で体を震わせていた。
声が出ない…。どんな訓練もしてきた筈なのに、それよりも遥かに襲いかかる恐怖、それは人間の本能的な恐怖だった。
アーサーのしなやかで白い手がキャットの右手を掴んだ瞬間。
『ギャー!!』
キャットは悲鳴を上げてその場に倒れてしまった。
目が覚めたのは薄暗い自分の部屋のベッドに拘束された状態だった。
その日から、キャットは暫くの間、見える筈の無いTwinsの幻影に怯え、悲鳴を上げて気絶をしては悪夢で目覚めての繰り返しをしていた。
ジェシー、ベラ、クリスはキャットの部屋の前でキャットの様子を心配そうに見ていた。
仲間の内で一番手先が器用なクリスがキャットの部屋のドアの鍵を開けて、キャットに近づいた。
キャットの瞳は宙を向いたまま、感情も無くしてしまっていた。
職員でさえ、キャットの事を見捨てて近々【処分】が決まっていた。
クリスは静かに、キャットの側に来て、拘束されている手を優しく握った。
キャットはビクッと全身を震わせた。
クリスはキャットの耳元で確りとした口調で話しかけた。
『キャット。クリスだ。聞こえてるか?もう大丈夫だ。何も怖くない。ここに怖いものはもう、来ない。大丈夫だ。僕が側に居るから、何も心配ない。キャット…。大丈夫だよ…。』
クリスは何度も何度も繰り返し、安全だ。大丈夫だと、キャットの耳元で繰り返して語りかけた。
1週間も過ぎた頃。
キャットに変化が見られた。