gardenquartz 小さな楽園
碧さんはGパンのポケットからこのマッチ箱を取り出し俺達の前に置いた。

俺がマッチ箱を取ろうとしたら碧さんは俺に身を乗り出して言った。

『このマッチ箱を手に取ったら引き返せないわよ。
そのかわり退屈なんて言葉は一切無くなる事は保証する。
よく考えてから………』

俺は碧さんの忠告を遮りマッチ箱を碧さんの手から取った。

碧さんは悪戯坊主達を困った笑顔でみていた。


俺と修利はそのマッチ箱を見た。
何処にでもあるマッチ箱だ。

碧さんはクスリと笑うと言った。

『マッチ箱を開けてマッチを全部取り出して裏返してみて。』

俺はマッチ箱を開けてマッチを全部出して裏返した。
赤い文字で携帯番号が書いてある。

『今夜11時にそこに電話をして。』

『OK~。』
そう軽く言うと。

碧さんはもう一度カウンター内から身を乗り出して真剣な目で半分脅す様に俺達に言った。

『この事はあなた達だけの秘密よ。絶対に他で喋らないで。そして、そのマッチ箱を無くさないで誰にも渡しちゃ駄目よ。
いいわね。』

俺は碧さんの目を見つめた。

綺麗な顔が目の前にある。kissを支度なる衝動を抑え何も言わず頷いた。

年頃の少年なんて考えることはそんなもんだよ。




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