gardenquartz 小さな楽園

ディーンは本部を離れるか迷っていた。
あの爆発音はただ事じゃない。
それにTwinsの片割れが死んだとなると、ジョナサンが動く可能性があるし、監視の目をより厳しくするだろう…。

仕掛けは万全だから、後は如何にしてジョナサンを監視ルームから誘き出すかだな…。


ディーンはこれからの自分の行動を頭の中で幾つかシミュレーションをしていた。
その時、SPに突然両腕を掴まれ手錠をかけられた。

『！！』
ディーンは捕まり、監視ルームに連れていかれた。


何台もあるモニターに囲まれSP達が各々のモニターを監視していた。
その中に自分も映っていた。


部屋の中央にベルベットのソファが置いてあり、ガラスのテーブルには冷えたシャンパンを口に運んでいたジョナサンが座っていた。


『やぁ。ディーン。君に会うのは久し振りだね。元気で何よりだ。』


ディーンは素早く両隣のSPの脛を蹴り、屈んだ所を膝で顔面を打ち倒した。
そして、ジョナサンを睨みながら言った。

『何時から俺がここに居ると気がついた？』


ジョナサンはシャンパングラスをテーブルに置くと、立ち上がりディーンの側に笑いながら近付いて言った。

『君が私を嫌っている事は分かっていたからね。君がここに来てからずっとさ…。』


ディーンは舌打ちをした。


しかし、頭の中では少し安堵していた。メインの仕掛けはバレていない。
それだけでも良しとしよう。


ジョナサンが立ち止まると、新しいSP数人がディーンの腕を掴み地面に押さえつけた。


ジョナサンはディーンを見下ろして薄笑いを浮かべて言った。


『良い眺めだね。君を見下ろすなんて、滅多に出来ないからね…。君にしては屈辱的だろうけれどね。』


ディーンはそれでもジョナサンを睨み付けていた。


ジョナサンが頷くと、SP達はディーンに殴る蹴るをした。
唇が切れて血が滴って床に落ちた。
顔に激痛が走り、腫れ上がってきた。

顔を地面に下ろしたディーンにジョナサンは手を伸ばし、髪を掴み上げた。

『私は暴力はあまり好きでは無いんだよ。それに君はあの子を誘き寄せるにはかっこうの道具だからね。』


ディーンは口から勢いよくジョナサンの目を目掛けて何かを吐き出した。

ジョナサンは片目を押さえ地面を転がり唸り声を上げた。

ディーンが吐き出したものが床に転がった。
それは奥歯だった。


SPは更にディーンを気絶するまで殴り続けた。
ディーンは力無くダラリと気を失っていった。


ジョナサンは片目を押さえなから、憎々しくSPに命令した。

『こいつを連れていけ。そして、私の傷を診る奴を連れて来い。』


ディーンは監視ルームからSPに引きずられて、出ていった。


ジョナサンはソファにドカリと腰を下ろし、モニターの１つを見つめた。
そこには碧木が走っているのが映し出されていた。