gardenquartz 小さな楽園
wanted to die
『もう直ぐ修利の指したポイントに着くわ。みんな良いわね。』
碧木は皆に言った。
皆は黙って走っていた。
途中で壊れたトラップを見つけた。
恐らくアーサーが破壊したものだろう。
修利の勘は当たっていた。
碧木は修利をチラリと見た。
修利は気付くこと無く走っていた。
碧木と皆は50メートル手前で止まった。
草むらに身を潜め、皆を集めて最終確認を行った。
碧木が口を開いた。
『今回は絶対アーサーを逃さない。和樹。貴方はこの半径50メートルにトラップを仕掛けて。私はアーサーを見つける。
キャット…。本当に貴女に出来るの?』
キャットは大きく頷いた。
『分かったわ。好きになさい。その代わり約束するのよ。絶対死なないと。良いわね?』
キャットは頷いた。
今回キャットが直接アーサーと闘いたいと言って譲らなかった。
和樹は一足先にトラップを仕掛けに行った。
今回はペイント爆弾ではなく、本物の爆弾を仕掛ける、やり方は碧さんとキャットにレクチャーしてもらったから、さして
てこずる事も無く、すんなり仕掛けられるだろう。
心配なのは修利とキャットだ。
妙に冷静な修利。
キャットは怒りで我を忘れている。
あんな状態で、果たしてアーサーに勝てるのか?
和樹の中で色々な事が駆け巡っている。
何個目かの爆弾を仕掛けて森の藪を走っているとき、
【カサリ…】
微かな音を和樹は見逃さなかった。
藪に飛び込み銃を取り出し、音を伺った。
神経がピリピリしている。
安全装置は外してある。
気配を消さなければ…。
『出てこい…。』
微かな声がした。
素直に従うほど馬鹿ではない。
和樹はまだ、身動きせずに、相手の出方を伺っていた。
『危険は無い。出てこい…。』
同じ声のトーンでもう一度声がした。
誰だ?
カサリと音がして、相手が藪から出て、両手を広げて武器を持っていない事を示した。
和樹はゆっくり銃を構えながら藪から出てきた。
相手はゴーグルをしていて、顔は分からない、しかし、体型からして、女だ…。
銀髪がフードから少し出ている。
銀髪に見覚えは無い。
和樹はまだ銃を構えたまま言った。
『顔を見せろ…。ゆっくりフードとゴーグルを外せ。違う動きをしたら撃つ。』
女は戸惑ったが、ゆっくり、フードを後ろに外して、ゴーグルを外した…。
そこに立っていたのは、マーニーだった!!
和樹は驚き引き金を弾いてしまった。