gardenquartz 小さな楽園
俺は騒がしい渋谷の雑音から逃れて裏道の坂の石階段に座り、11時ジャストに例の番号にかけた。
ワンコールで相手は出た。
『お待ちしておりました。碧木様のご紹介の方ですね?』

話は伝わってるらしい。

『はい。』と返事をすると、相手は機械的にしゃべり始めた。

『お電話ありがとうございます。今回初めてのご参加なので、簡単にご説明させて頂きます。
先ずお客様には一週間隔離された場所に行って頂きます。
その際の費用はご心配なく、こちらが全額持ちます。
隔離された場所に行く際には身体検査をして頂きます。』

『?』

電話の相手は続けて話している。

『衣類はこちらで全て御用意させて頂きますので、ご心配無く。
所持品は御自由にお持ち頂いて結構です。もし、武器が必要でしたら…』

何!!武器!?
俺は慌てて話を遮った。

『武器って?』


電話の相手は機械的に説明した。

『ゲームの武器です。』

そして淡々と話を続けた。

『武器も御用意していますので、お好きな物をお持ち頂いて結構です。
その後の事はこちらにお出で下さった時に担当者が説明致します。』


俺は何が何だか解らなかった。

身体検査!?
武器!?
ゲーム?


電話の相手は単調に俺に言った。


『来週の日曜日午後11時に碧木様の御店にいらして下さい。使いの者が御迎えに上がります。では失礼致します。』

電話は勝手に切れた…。


俺は切れた電話をまだ耳にあててボーゼンと突っ立っていた。


修利が俺の肩を掴んで揺らした。

『おい!!和樹。何だって?』

俺はゆっくり修利の顔を見た。
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