gardenquartz 小さな楽園
ジョナサンはモニター室の一画に設けたプライベート室に居た。

一画に設けられては居るが、シャワー室やベッドルームも完備されていて、ホテルの一室の様な作りになっている。


ジョナサンはシャワー室に入り、熱めのシャワーをずっと浴びたままでいた。
湯気がシャワー室全体を包んでいる。
長く美しい金髪の合間の背中には無数の醜い傷が刻まれていた。


背中だけでは無い。腕や脚、あらゆる場所に刻まれた傷痕が、シャワーの熱で一層生々しく浮き上がっていた。

シャワーを止め、ローブを羽織り部屋に戻り、椅子に腰かけて項垂れた。
疲労が何時も若々しいジョナサンの素顔を晒していた…。
その顔は、まるで初老の様な面立ちだった。

古傷が疼く…。

ジョナサンは幼い頃を思い出していた。


白い女の手が自分の腕をきつく握り引っ張られて、知らない所へ連れていかれ、置き去りにされた。
その日から、地獄の日々を送った。
理由なく、肉が削がれるまで鞭で打たれ、あらゆる戦闘訓練を強いられた。


そんな日々にジョナサンの心は感情を無くしていった。
ある日、野営の訓練をさせられた。
訓練内容は、一人で敵を殲滅することだった。
勿論失敗すれば、
待っているのは【死】だ。
失敗しなければ、明日が訪れる。それには勝つしかなかった。


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