gardenquartz 小さな楽園
碧子はゆっくりジョナサンの方へ歩み寄ろうとしていた。

『碧子!!』

『碧さん!!行くな!!』

和樹、ディーンが碧子の名を口々に叫び留めようとしたが、碧子は辿々しい足取りでジョナサンの差し出した手の方へ向かった。

途中碧子は足の激痛で倒れ込んだ。
キャットが走り寄り碧子を支えて、ジョナサンの所に向かった。

和樹は焦った。
どうにかしてこの状況を自分達の有利に待っていかなくては、碧子とディーンは確実にジョナサンの手の中に入ってしまう。

しかし、手立ては無かった。
拳に力が入り、爪が食い込む。唇を噛み締めた。自分の無力さに腹が立つ。

それは、捕らえられているディーンも同じ気持ちだった。
ディーンは力の限り拳で忌々しい防弾ガラスを叩いた。
拳から血が滲みガラスに着いたが、ヒビ1つつけられなかった。

その間にも碧子はキャットに支えられて、ジョナサンの元に進んだ。


ジョナサンの前の防弾ガラスの一部が音も無く開いた。
碧子がガラスの向こう側に後一歩の所で、いきなりキャットが碧子の肩を後ろに引っ張り倒し、自分がジョナサンの居るガラスの向こう側に入った。

ジョナサンとキャットはガラス張りの向こう側で向き合い間合いを取っている、キャットの手にはサバイバルナイフが握られている。
ジョナサンは手には何も持ってはいなかったが、何を隠し持っているのか予測がつかない。


和樹は倒れた碧子の側に駆け寄り、抱き起こした。
顔色が悪い。出血が止まらないで和樹の服にも碧子の流れた血で染まってゆく。
それでも、碧子はジョナサンを見ていた。


キャットはジョナサンに視線を外さず、手当たり次第に手に当たるボタンを押していった。


何個目かのボタンでディーンの回りの防弾ガラスの筒が無くなりディーンは自由になった。
アルフレッドがディーンの側に行き、その場から離れた。


そして、ジョナサンを守っていた防弾ガラスの壁もキャットの手によって開かれた。


キャットは静かにジョナサンに向かって言った。








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