gardenquartz 小さな楽園
『和樹。ここを離れましょう…。』
俺は驚いて碧さんを見た。
碧さんは頷いた。
しかし、扉はロックされて、もうカードキーで開けることは出来ない。
俺は離れた所に居る修利を見た。
キャットの手当てをしながら修利も俺を見ていた。
このままじゃ、碧さんが危ない。
キャットの傷も相当だ…。
どうしたら、良いんだよ!
俺はディーンとジョナサンを見た。
ジョナサンは上着をスルリと脱いだ。
俺は驚いて、一瞬固まった。
ジョナサンの体に爆薬が仕掛けられていた。
そして、ディーンに静かに言った。
『これはね、私の心臓と連携しているものなんだ。私が死ねば、ここは跡形もなく吹き飛ぶ。君や碧子も一緒にね。』
ディーンがフッと笑い言った。
『俺が何もしないでここに居るとは思って無いんだろ?ジョナサン。』
ジョナサンは当然の様に言った。
『あぁ。君は何もしないでここに居るなんて愚かな事はしないのをよく知っているよ。』
ディーンはジョナサンの言葉を最後まで聞かずに、ジョナサンに飛びかかり、ナイフを首に充てて、静かに言った。
『ジョナサン…。俺がお前の側に居てやるから、他の奴等は放せ。
俺はお前の最期まで一緒に付き合う。
俺で我慢しろ。碧子は諦めろ。なぁ…。
ジョン…。』
ジョナサンは目を大きく見開いた。
ディーンはジョンと呼んだ。
昔、ディーンが自分を呼ぶときにジョンと呼んでいた。
ジョナサンは肩の力を抜いた。ディーンは一瞬気を緩めた。
ジョナサンは身を翻し、ディーンのみぞおちに拳を突いた。
ディーンはよろめき方膝を地面に付けた。
ジョナサンはボタンを押した。
その瞬間、警報音が屋敷全体に響き渡った。