gardenquartz 小さな楽園
翌日、目が覚めたのは昼前だった。
日本の湿気のある空気で目が覚めた。

俺は重い体を起こして荷物を解いた。
汚れた服や荷物を出していると、島での事を思い出していた。

何発かペイント弾の弾が転がって出てきた。
俺はそれを摘まんで眺めた。


戦争ゴッコか……。


俺は弾を小物入れのガラスの入れ物に放り込んだ。


ナイフも出てきた。
鞘から取り出した。刃先がボロボロになって汚れていた。
俺はナイフを鞘に戻すとクローゼットの奥にしまった。


バッグの底に違和感があって、手を突っ込んで取り出した。
黒い巾着が出てきた。
巾着を広げて見ると、小さな紙切れと、緑色をした雫型のピアスが1つ出てきた。
俺はピアスを摘まむと光に照らした。
ピアスはキラキラと輝いていた。

紙切れを広げるとたった一言書いてあった。


【Please forget me not】
(私を忘れないで)


俺はピンとこのピアスの持ち主が誰か分かった。
キャットだ!!
これはキャットの体に彫られたtattooの目玉の片方に違いない。


俺は手のひらでそのピアスを見つめていた。



突然携帯が鳴った。

着信を見ると修利だ。
俺は電話に出た。


修利の声が聞こえた。
『荷物の中を見たか?』

俺は返事をした。
『あぁ。お前も見たのか?』

電話の向こうで声が少し震えていた。
『このピアスの石、キャットだよな?!』


俺はピアスを見ながら言った。
『そうだと思う。アイツ忘れないでねだってさ…。馬鹿だよな。忘れるわけ無いのに。』


『あぁ。忘れないよ。それにきっとまた、会えるような気がするしな…。』

俺も同じことを思っていたので、フッと笑った。
すると、電話の向こうが騒がしくなった。
修利のおふくろさんが騒いでいた。

『修利!!そのピアスどうしたの?!女の子から貰ったの?何かあったの?!電話の相手は誰なの?』

修利が英語でおふくろさんをなだめていた。
『和樹!!お前の所に行くわ!!』

修利のおふくろさんが電話の相手が俺だと分かり、更に声を大きくして俺に言った。

『あら~!!和樹君!!修利がピアスなんか持ってるのよ?!』

俺は笑いながら答えた。
『大丈夫ですよ。俺とお揃いのピアスですから。』


電話の向こうは更に騒がしくなった。

『修利!!まさか、あなた和樹君とそう言う関係なの?』

俺は笑いながら電話を切った。







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