gardenquartz 小さな楽園
途中で雨が降ってきたが、通り雨だろう。
店の横にバイクを停めて。メットを脱ぐと、通り雨は小降りになっていた。


俺は視線を感じて、顔を視線に向けた。


人が行き来している。雑踏。
俺はバイクに寄り掛かり、視線の方へ目を凝らしていた。


ずぶ濡れの女が見えた。
懐かしい顔だった。
キャットが恥ずかしそうに、近付いてきた。


俺は電話を修利にかけて、そのままポケットに電話をしまった。

『よぉ。』
俺はずぶ濡れのキャットに声をかけた。

キャットはニヤリと笑うとまるで本物の猫が水を振り払うように、頭を振った。


『オワッ!!何やってんだよ。』
俺は笑いながらキャットに言った。


キャットはニコリと今度は無邪気な表情で笑った。
そして、俺の耳のピアスを見ていた。

俺は耳を見せて言った。
『これ、貰って良かったのか?』


やっとキャットは声を出した。

『うん。良く似合ってる。私は違う目を入れたから大丈夫。』

そう言うとTシャツをめくった。
左の脇腹の所に猫のtattooが彫ってあり、オッドアイの目をしていた。
『ジェシーとベラの石を入れたの。』

俺はそうか。と返事をした。

俺は蹄鉄のかかった扉を開けた。


キャットは優雅に歩いて扉の中に入っていった。
俺はポケットから電話を取り出し修利に言った。
『聞こえたか?』



受話器の向こうの修利が言った。
『あぁ。聞こえた。良かった。見つかって。』


俺はゆっくり電話を切った。






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