gardenquartz 小さな楽園
チャーリーは無表情で扉の中へ消えた。俺は改めて碧さんが何者なのか知りたい気持ちに掻き立てられた。

女は倒れている男達の側で何やら怒っていて、二人の男達も落ち着いた様でしおらしくなっていた。

俺は扉を開けて店内に戻った。

碧さんが俺を見た。俺はコクりと頷くとホッとした表情になり店内に響き渡る美しい声で言った。
『皆!!お詫びに一杯サービスするわよ!』

店内は一気に沸き上がり元の雰囲気に戻った。

この街は何時でも乱恥気騒ぎの眠らない街。


俺はこの街が好きだ。

碧さんが居るこの街。

デタラメ、戯れ事、ハチャメチャだけど
刺激が俺を掻き立てる。





でも、パーティーは何時かは終わる。




最後の客が帰ったのは始発が出る時間だった。

俺、碧さん。チャーリー。ヘレン。
各々片付けを終わらせカウンター席で仕事のクールダウンをしていた。

碧さんが俺に顔を向けて言った。
『話って何?』

俺はハッと思い出してチャーリーとヘレンを見た。

チャーリーは自分達が居たらマズイと察知してヘレンを朝食に誘い席を立たせた。

俺はすまなさそうにチャーリーを見た。

チャーリーは俺の背後を通りすがりに肘で小突いてニヤリと笑うとヘレンと店の外に出ていった。
蹄鉄を内側に掛けて。


急に店内は静けさに包まれた。


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