gardenquartz 小さな楽園
俺はソッと優しい声で名前を呼んだ。
『絵梨佳?』

絵梨佳の肩がビクンっと動いた。
小刻みに震えていた全身のまま動かない。
俺はもう一度名前を呼んだ。

『絵梨佳。』


絵梨佳はやっと顔を上げて俺を見た。

絵梨佳の顔が腫れて目の回りは黒と紫色になり腫れて目が開かないくらいだ。

唇はパックリ切れて血が滴りアゴまで流れ地面に垂れていた。

腕も青紫のでかい痣が何ヵ所もあり、太ももにはみみず腫みたいな感じになっていた。


俺の顔を片方の目で見た絵梨佳は笑おうと顔を歪めたが、涙が腫れ上がった頬を伝った。


俺はゆっくり絵梨佳に手を伸ばしトンネルから出した。
来ていたシャツを肩にかけた。

その時初めて絵梨佳は声を上げて泣いた。
気が緩んだんだろう。
子供のように声を上げて泣いた。

俺は絵梨佳をソッと震えが収まるまで抱きしめていた。


絵梨佳の血がTシャツに広がったがそんなことはどうでもいい。

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