gardenquartz 小さな楽園
どの位時間が流れたんだろう。
この店に入ると時間の感覚が無くなる。それに今は絵梨佳が心配で余計時間が分からなくなっている。

二人の気配は感じている。


でも、俺にはどうすることも出来ない。
だけど碧さんが任せてと言ってくれた言葉に安心は何処かに感じている。


『か…ず…き。』絵梨佳の声がした。



俺はそっとカーテンを開けて絵梨佳の顔を見た。
絵梨佳は体を起こしてソファーに座っていたが顔が腫れ上がり見られたもんじゃなかった。


碧さんは薬箱の蓋を閉めて立ち上がりこっちに来た。
そして、俺の肩を軽く叩き頷いた。


俺は絵梨佳の側に行った。


碧さんは控え室に入っていった。


俺は絵梨佳の足先に腰かけていた。
何て声をかけて良いか分からなかったので黙っていた。


絵梨佳が沈黙を破った。

『和樹。呼び出してゴメンね。』
俺は絵梨佳を睨んで答えた。

『謝んなよ。ダチなら当たり前の事をしただけなんだから!それよかお前どしたんだよ…それよ…。』


絵梨佳は笑おうとしたみたいだが痛くて顔を歪ませ答えた。

『オヤジにやられたんだ…。何時もの事なんだけど…。今回はちょっと酷かった…。アハ…ハ…。』


俺は絵梨佳が無理に笑おうとしたことに余計腹が立った。
親だろ!?何で笑えんだよ!!

『何でお前、笑えんだよ?普通怒るだろ!!』

俺は怒りを抑えて絵梨佳に言った。



絵梨佳はカウンターの灯りをずっと見て俺の問いに答えなかった。
俺も黙っていた。
沈黙が流れた…。

絵梨佳が静かに話始めた。
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