gardenquartz 小さな楽園
『ただいま~。』
俺は玄関で靴を脱ぎながら言った。

『お帰りなさい。』
母親の声がキッチンから聞こえた。

俺は階段を上がり自分の部屋に向かった。
ドアを開けバッグを床に放り出し、部屋着に着替えた。

俺の部屋はフローリングの8畳程でベッドとコンポ、テーブルにテレビにクローゼットとシンプルだ。
雑誌と言ってもバイクの雑誌位かな。
わりかし綺麗な方かも、俺ゴチャゴチャ散らかってんのあんまし好きじゃないからな。
壁にも何も貼ってない。
本とかはクローゼットの中に収納スペースがあるから本棚も出てない。



俺はベッドに寝転んでコンポのスイッチを入れた。
お気に入りの曲が流れてきた。
修利がくれたCDで俺の好きな曲ばかりが入ってる。


俺は天井に色んな事を映し出した。
修利と屋上で寝転んだこと。
碧さんの瞳。
マッチ箱。
そして、碧さんとのkiss。


階段下から母親の声がした。
『カズ~!ご飯だよ~。』

俺はクスリと笑って答えた。
『今行く!』


部屋は真っ暗でコンポの明かりだけが光っていた。
コンポの電源を消し、一階のリビングに降りていった。

父親はまだ帰ってきていない。

自分の席に座りながら母親の背中越しに話しかけた。
『俺、明日からちょっと修利とバイトで出掛けてくるわ。』

母親は茶碗にご飯をよそいながら答えた。
『あら。そう。修利君元気なの?』

『あぁ。元気だよ。』
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