gardenquartz 小さな楽園
真夜中の逃亡者
いつの間にか寝ていたらしい。
カーテンから漏れた朝日が顔に当たり眩しくて目が覚めた。


俺はノロノロ起き出しシャワーを浴びに下に降りた。
シャワーを浴びてスッキリした。
リビングに行くとテーブルに朝食が用意されていて、メモ書きがあった。


【おはよう。朝食食べてね。バイト頑張って。母より。】


俺はテレビをつけて朝食を食べた。
朝からニュースでは動機無い犯罪の事をアレコレ話していた。
評論家が知ったかぶりをしていた。
馬鹿だな…。
動機なんて本人さえ分かんないんだよ。
だから答えなんて無いんだよ。
俺だって明日、イヤ今日それに巻き込まれない保証なんて無いし、加害者になるかもしれない。


あんまり面白くないのでテレビを消した。
便利だ。聞きたくない、見たくないモノは消してしまえば良いんだから。


俺は食べ終わった食器を流しに持っていき洗って、自分の部屋に行って今日の荷造りを始めた。


動くのに邪魔にならないバッグを用意して、一応護身用のナイフを持っていくことにした。
Zippoのライターとオイルそれに煙草、着替え。
後キャンディにチョコレート、ビスケットに水筒。
お菓子は別に楽しむ為じゃない。
非常食に最適なお菓子を選んだだけ。

俺は小学生の頃、父親とよく釣りをしに行った。
その時に父親に色々教えて貰ったんだ。
肉体派とは正反対の父親だけど、こう言う事に関しては尊敬してたな。


荷造りを終えても約束の時間には未々時間が余ってた。


俺はベッドの上に足を投げ出して部屋を見渡した。
恐ろしくシンプルな部屋。生活感が無い無機質な感じを辛うじて木目調の床や壁がフォローしている。
風に揺られてレースのカーテンが揺れている。

不意に電話がなった。
着信は修利だ。
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