gardenquartz 小さな楽園
『なんだ?』俺はあんましモシモシって言わないんだよ。

『準備はどうよ?』修利も俺とも言わないし、モシモシなんて言葉なんて言ったこと無い。


俺は風に揺れてるカーテンの隙間から外を眺めながら答えた。
『出来てる。そっちは?』


電話口で聞こえてきたのは修利が母親に心配するなみたいな感じの事を英語でしきりになだめてる。

修利の母親は修利を過保護過ぎる程可愛がっている。
たった一人の肉親だからな。それに女手1つで育ててるからな。

『大丈夫か?』俺は少し優しい口調で修利に言った。

電話口でも分かる位困った様子の声が聞こえた。

『俺は大丈夫なんだけど、オフクロが心配しちゃってよ。お前から言ってくんない?』

俺は黙っていた。
すると少しかすれた声の艶っぽい声が聞こえた。
『和樹君?』

俺は少し笑って答えた。
『どうも、お久しぶりです。』

修利の母親は少し安心した口調になった。
『修利は和樹君と一緒なの?女の子とかと一緒じゃないわよね?』

俺は今度は声に出して笑いながら答えた。
『安心して下さい。僕と修利君だけですから。女の子なんて居ませんよ。』

『あら!!修利まだ彼女出来てないのね。』


今度はそっちの心配を始めた。

可愛らしく、面白い女性だ。修利の母親じゃ無かったら射程範囲内だな。

俺のストライクゾーンは外見4、内面6でかなり広いと自分でも思うよ。

電話口で修利と母親はなんやかんや騒いでる。
俺は笑いながら聞いていた。

いきなり修利の声が聞こえた。
『チッとお前ん家に行くわ!』

『おぅ。』

電話は切れた。

俺は電話を横に放り投げカーテン越しの外をまた眺めた。




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