gardenquartz 小さな楽園
二人して俺の部屋に入り、修利はフローリングにどっかと座りアーミーバッグの紐を広げて中身を取り出した。

驚いたことに中身はほぼ俺と同じ物が入っていた。
違ったのはサバイバルナイフの大きさ位か。
修利のはかなり使い込んだ俺より一回りデカイ物だった。

『どうしたんだよそれ。』俺はそのサバイバルナイフを指差し言った。

修利は柄からナイフを取り出し答えた。
『オヤジが使ってたもんだよ。オヤジ軍人だったらしいから。』

歯が物凄く鋭く研がれていた。
『暇さえあれば研いでたから、鋭いだろう?元々オヤジも磨いてたからな。』

修利は本当に父親を尊敬していた。
自分と母親を捨てたのに…。
修利はきっと何かの事情があって仕方なかったんだと思っているらしい。


『スゲーな!俺のも研げる?』

俺は自分のバッグからナイフを取り出した。
修利はそのナイフを受けとるとジット刃先を眺めて言った。

『オッケー。直ぐに切れ味良くできるよ。』

修利はバッグから革の細長い物を取り出した。
俺は驚いて聞いた。
『それで研げるのか?』

修利は自慢げに答えた。
『あぁ。そうだよ。まぁ見てなよ。』

慣れた手付きでナイフをその革に滑らせて往復させている。


俺は黙ってそれを見ていた。

修利は一心不乱に磨いていた。
集中している時の修利の横顔がヤツのオヤジに似ていた。


太陽が紅くなり始めた。


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