gardenquartz 小さな楽園
『私がまだ14歳の時、かなり無茶苦茶してたの。

私はアメリカのサウスブロンクスのスラム街で生まれたらしいけど、実際分からないの。
私はスラム街の教会に捨てられてたから。』


俺達は碧さんの過去を全く知らなかった。


『私はそこの教会の中の孤児院で育った。
でも、ソコはスラム街でしょ。

私も他聞に漏れず悪く育った。でも、神父は私に辛抱強く言い聞かせる様に諭した。

その時の私の耳には届かなかった。悪いことが楽しくて仕方なかった。体を売る以外は何でもした。

その頃には私はスラム街でも知らないヤツは居なくなった。私は有頂天になってた。そしてある日私の運命を変えた出来事が起こった。』


ふぅ。碧さんがソコまで話して溜め息をついた。


俺達はただ黙って座っていた。


碧さんの手が煙草に伸びた。
火をつけ続きを話した。

『ある日、何時ものように金を手に入れようと男に目をつけ襲った。その男は身を翻し、あっという間に私達5人居たんだけど、私以外全員殺されたわ。
男が手にしていたのはナイフの様な物だった。私は手にしてたブラックジャックで無我夢中で男に飛び掛かった。』


俺はキョトンとして言った。
『ブラックジャックって何?』

碧さんがニコリと笑って席を立って自分のバックパックの中から取り出した。
細いチェーンの先に銀色の袋が付いている。
俺は手を出した。
碧さんがそれを俺に渡した。


ズシリ…。


重い、俺は袋を持ち上げ手で袋の中を確かめた。
砂?
『砂と砂鉄が混じったモノが入ってるわ。それがブラックジャックって言う武器なの。

音もしないし私のお気に入りの武器。銃も扱えるけれど、普段はそれを持ってる。

その時も持ってたの。それは特注で皮袋じゃなくてチタンで出来てるけどね。当時は革だった。』


俺はブラックジャックをテーブルの上に置いた。

碧さんはそのブラックジャックを見つめながら続きを話した。

『最初の一発は男のみぞおちに当てた。私は男が痛くて屈むだろうと考えて次の攻撃をしようと構えた。

そしたら男は屈むどころかダメージ何て受けてない様子で前屈みに構えた。そして次の瞬間何が起こったのか分からなかった。

でも目に写ったのは景色が一瞬で真っ赤になって私は地面に倒れてた。私は本能的に悟った。

アァ、私死ぬんだ。こんな所でのたれ死ぬんだ。そして、男の靴が私に近づいてきた。そこで私は意識が飛んだ。』



私は暗闇に包まれたわ。






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