gardenquartz 小さな楽園
作業が終わる頃部屋の電話が鳴った。

俺は受話器を取った。
『フリー参加者スカウトの受付を開始致しますのでホテルのボーイの案内で会場までお越しください。』


一方的に喋って電話は切れた。


いよいよだな。どんな奴が参加するのかよく観察して、情報を少しでも集めておく必要がある。


『いよいよか?』
修利が言った。


俺は振り向いて頷いた。


部屋の呼鈴が鳴った。
修利が扉に向かった。


碧さんだった。


『分かってるわね?』


俺達は頷いた。



数分して、再び呼鈴が鳴った。

今度は3人で扉に向かった。
ボーイが軽くお辞儀をして

『仕度はお済みでしょうか?』


俺達は頷いた。
ボーイは表情を変えず、機械的に口を動かした。
『では、会場へご案内致します。』


俺達は部屋を出て林の先まで続く桟橋をボーイの後に続いた。


離れた全てのコテージから人々が出てきた。
距離が離れているので、体格しか分からないが、遠目からでも判るくらいガタイの良いのが数人居た。


ボーイが林の中に続く道に差し掛かったときに口を開いた。

『ゲーム前のチームによるイザコザはペナルティの対象になるので御注意下さい。』



つまり、チームのメンツが解るって訳か。


『会場にはスペシャル得点ターゲットの発表も御座います。』



碧さんが溜め息を付いた。



観葉植物のドデカイ葉っぱを掻き分け、急に視界が開けた。
俺と修利は目を見張った。



テントが所狭しと並んで建てられていて、回りに何処から涌き出たのか、人、人、人 の数がワンサカ居た。


テントにはフリー参加の奴等が居て、スカウトする奴等と交渉をしている。


俺と修利、碧さんがそのテントの群れを物色し始めた。


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