gardenquartz 小さな楽園
男がテントの奧に消えてから、俺は碧さんに聞いた。
『あの男は何者?』

碧さんはちょっと困った顔で俺の質問に答えた。

『彼は流れ者の傭兵で、単独行動を得意としてるの。
気性が荒くて、滅多に人と行動を共にはしないヤツ何だけど、腕はピカイチ。

それに和樹くん達を気に入ったみたいね。
もし嫌だったら、誰に頼まれても、幾ら金を積んでも、断るヤツだから。

私がソルジャー時代に彼がブレインで色々教え込まれたわ。謂わば私の師匠ね。』


キャットが口笛を吹いた。


修利は男が消えたテントの奥を見つめていた。


数分後、音が出てきた。
俺達はごくりと息を飲んだ。
全身黒で現れた。
黒のTシャツに黒の軍パン、黒の編み上げブーツ、浅黒い腕には無数の傷跡が両手にあった。
そして、肩から黒いバッグをかけていた。
まるで、黒豹に見えた。


そして、ゆっくりテントから出て俺達の側に来て言った。

『俺はディーン。そこのオチビちゃんの馴染みだ。ヨロシクな。坊や達。』

俺はムッとした。
それを素早く見たのだろう、ディーンは俺にニヤリと笑った。


碧さんが俺達とディーンの間に入って言った。

『これで、人数は揃ったわね。さぁ。今回の最高ゲームポイントの人物発表がステージで発表されるわよ。
その人物の居るチームは全てのチームから的にされるから、気を引きしめてね。』


俺はムッとしながら、
修利は黙って、キャットは口笛を吹きながら、その後ろをディーンが音も立てず碧さんの後ろを歩いて、ステージに向かった。




俺ら大丈夫か?




俺は不安が広がっていった。
まぁ、俺のヤキモキした感情はこのゲームでは捨てなければ、碧さんの足を引っ張りかねないので、それだけは今は考えないことにした。





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