gardenquartz 小さな楽園
砂浜まで戻ると、丁度碧さんが林からSPに連れられて戻って来た所だった。

碧さんはディーンの顔を見た。ディーンは小さく頷いた。


キャットと修利はまだレクチャーをしていた。
修利は何時になく真剣にキャットのレクチャーを受けていた。
キャットもさっきまでの遊びとは違って、真剣に修利にレクチャーしていた。
まるで、ライオンと豹の戦いを見ている感じだ。


SPが林の中に戻ると、碧さんはやっとニコリと笑って言った。

『ただいま。修利君随分短時間でキャットとやりあえる様になったわね。』


ディーンがボソリと言った。
『皆、中に入れ。』


キャットと修利もピタリと止めて、部屋の中に入った。俺と碧さんも中に入った。
一番最後にディーンが部屋の中に入るときに、足を止めて暗くなった林の中を
何かを探る様に睨み、やがて静かに部屋に入った。


ディーンはつかさず碧さんに聞いた。

『オチビちゃん。本部の内部構造を分かる範囲で良いから、紙に書き出せ。』

碧さんは、頷き、直ぐさま紙にまるでコピーしたかの様に紙にサラサラと書いていった。

その間、ディーンは自分のバックから紙切れを取り出した。
碧さんが書き終わると、その上にディーンの紙を乗せた。
部屋の構造がピタリと重なった。
キャットが口笛を吹いた。


『俺の情報から今のところ変化は無さそうだな。奴は相変わらずか?』

碧さんは吐き捨てる様に言った。
『えぇ。何も変わっちゃいなかったわ、あのクズ。』


『見取り図が変わっていないとすると、俺のオモチャも充分使えそうだ。アイツだけ高みの見物何てさせるもんか。』


キャットは小型のパソコンの様なモノを取り出し、素早い指の動きで何かを打ち込んでいる。
そして、enterキーをパチンと叩いた。




ドーン!!!!!




ステージのあった場所からバカデカイ爆発音が轟いた。


俺達はバンガローから飛び出し、音の方向を見ると、煙が立ち上がり、火の粉が暗闇に点々と散っていた。
他のバンガローの奴等も部屋から出てきて、騒いでいた。


キャットはベッドの上であぐらをかいて、優々と口笛を吹いていた。


碧さんがキャットに近づいて言った。
『アンタがやったのね。』

悪びれる様子もなくキャットは答えた。
『ホンの余興よ。』

碧さんはニヤリと笑ってキャットを見て肩をすくませて俺達を見た。

俺と修利は口をポカーンと開いたまま、思った事は多分同じことを思ったと思う。
【コイツらトンでもない奴等だ。】





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