gardenquartz 小さな楽園
自分の持ってきた荷物も一応チェックはされるが、特に規制される事もないらしい。

ただし、外部との連絡を取ることは禁止なので、通信危機、つまり携帯電話や、その手の物は本部にてゲームが終わるまで保管される。


ざっとこんなものだろうか。


今は昼過ぎの2時頃か…。
後、3時間でゲームが始まる。
俺はソワソワしていた。
修利も同じ気持ちらしく落ち着きが無い。


ディーンを見ると、テラスの椅子に腰かけて完全にリラックスムードで煙草を吹かしていた。


トントン。


誰かが来た。
他のチームが来ることは無いので、碧さんかキャットだろう。


修利が扉を開けた。
碧さんとキャットだった。


二人はゲーム開始までの時間をここで過ごす様で荷物を持ってやって来た。


キャットや碧さんも何度もゲームを体験しているので、普段通りだった。
碧さんが俺達を心配したらしく、やって来たらしい。

情けない。

おたついている訳じゃないが、落ち着かないだけなんだ。



碧さんが黒く細長いモノを取り出し、火を着けた。
煙が細く立ち上ると共に良い薫りが辺りを包み込んだ。



落ち着く…。



俺は碧さんに軽く笑みを浮かべた。
碧さんもにこりと笑った。



キャットは自分のバッグからゴソゴソと色んなモノを取り出し、ブーツの底を回して、工具を取り出しカチャカチャと色んなモノを弄り始めた。

修利が興味があるらしくキャットに聞いた。
『何を作ってるの?』

するとキャットはもう片方のブーツの底を回してバラバラと何かを床に広げた。
ペイント弾だ。

キャットはウインクしながら修利に言った。

『ペイント弾爆弾♪女の子はか弱いからこれ位しないとね。』


何処がか弱いんだ?!


修利はニヤリと笑った。
俺は呆れた。
ディーンは愉快そうな顔をしていた。
碧さんも笑った。


キャットには不思議な魅力がある。


只、どうしても分からないのは、妙に落ち着いているディーンの事だ。
ディーンは今回のゲームで全てを終わらせると言っていた。
もう、何かしらの動きがあっても良いもんだが、一向に動く気配は無い。


ゲームの経験数では断トツ多いディーンの事だから、もう仕掛けているのかもしれない。


碧さんがディーンを見た。
ディーンは感情の無い顔で碧さんを見ていた。

俺からは碧さんの後ろ姿しか見えないが、きっと悲しそうな、心配そうな顔をしているに違いない。

そんな碧さんだから、俺は惚れたんだけれど、正直。ディーンと碧さんの間には俺が立ち入れない絆がある。


修利が軽く俺を小突いた。


俺は修利を見た。
修利が頷いた。
修利は俺のこの気持ちを察していた。


俺は頷いた。


キャットは手のひらサイズの【お手製ペイント弾爆弾】を20本作り上げた。
1人4本ずつ持たされた。



夕方の4時。ゲーム開始まで後、1時間。




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