gardenquartz 小さな楽園
『Twinsは文字通り双子の兄妹でとんでもない奴等よ。
人は人を傷つけたりすると、多少なりとも感情が入る。
そして、人を殺したりすることも、躊躇する。あの兄妹はその感情が全く無いの。
何の躊躇も容赦も無い。正しく、このゲームに最適な奴等よ。』


皆黙って碧さんの話を聞いていた。


『ペイント弾を使うのがこのゲームのルールなのに奴等は実弾しか使わない。
ジョナサン・バンクのオモチャだったんだけど、あまりにも殺しすぎて、このゲームから外されて、戦場に送り込まれたハズなのに…。』



『それだけ、奴は、オチビちゃんが欲しくなったのさ。あの薄ら変態は。』

ディーンが吐き捨てる様に言った。



キャットが口をはさんだ。

『そうみたいね。奴等は確実にこちらに狙いを定めてる訳では無いけれど、殺しを楽しみながら、最終的な目的である私らを仕止めるつもりらしいわ。
SP達が手を焼いてる。』


碧さんは暫く考えていたが、ソコにディーンが碧さんに言った。

『奴等は俺が囮になって引き付けておく。オチビちゃんはゲームを進めてくれ。』


碧さんは地図を拡げたまま、考え込んでいたが、やがて、作戦の図式が見えたらしく。俺達に指示を出した。


『キャットと修利はこのまま川沿い周辺の奴等を仕留めながら、河口まで行って。そして、ソコから島周辺の外側を右方向に向かって頂戴。』


碧さんは俺の顔を見ながら言った。

『私と和樹はこの森の河の内側から攻めていくわ。最終目的は崖の上。それが済んだら、川向こうをキャット達のペアと鉢合わせになるように向かう。』


ディーンが口を開いた。

『俺はTwinsを引き付けつつ、本部周辺で待機する。必要ならTwinsの始末をする。』


碧さんが遮った。

『Twinsに手出しをするのは早いわ。多分奴等は体内にGPS機能と生死有無の装置が付けられている。
もし、死んだら、ジョナサンは逸早くディーンの目論見を目敏く見つけるわ。』


ディーンはフムと頷き、考えていたが、徐にバッグから銀色の厳つい銃を取り出した。
パイソンだ。


『分かった。俺は兎になる。』


『皆、あの兄妹と鉢合わせになっても、戦おうとはしない事。
マトモにやったら死ぬわ。良いわね。私達はゲームを遂行するだけ。
さっさと片付けましょう!解散!』



キャットと修利。




俺と碧さんは森の中に消えた。




ディーンはみんなが消えた森の茂みを暫く見ていたが、フと小さく笑い。
本部の方を睨み付けて、やがてみんなと同じく、森の中に消えた。








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