gardenquartz 小さな楽園
俺と碧さんは慎重に森の中を進んでいった。
碧さんが足を止め、俺に見ろと指を指した。
無数の人間の足跡がアチコチあった。


碧さんは両手を広げた。
10人か…。


碧さんはどうするんだろう?
俺はさっぱり分からなかった。
これが、ストリートと本物の違いなんだろう…。
碧さんが少し遠くに感じた。


碧さんが来いと合図して藪に入った。
俺も後に続いて藪に入った。


碧さんの顔が直ぐ近くに近づいた。
俺はドキリとした。

『しっかりしなさい。和樹。集中しないとヤられるわ。』

碧さんが俺の目をじっと見ながら言った。
俺は頷いた。



そうだ!!
集中しないとヤられる。
碧さんの行動を見て学びながら、そして碧さんを守らなければならないのに!


俺達は辺りの音に集中した。


微かに自然の音では無い音が聞こえた。
碧さんにも聞こえたらしい。
俺の顔を見ながら頷いた。


音の方向へ静かに進む。



赤毛の男が木の幹にナイフで何かを刻んでいた。
碧さんがいきなり立ち上がり赤毛の後頭部目掛けてペイント弾を撃った。



ピーピー!!



森中に音が響いた。
碧さんは俺の手を取り、違う藪に隠れた。
すると、音を聞き付けて、ワサワサと男達が近付いてきた。


そして、倒れている赤毛の男の所まで来ると、めいめい悪タレをついて回りを見回していた。


すると1人の男が指示を出した。
『お前達はアッチ。俺達はこっちを見る。まだ、遠くには行っていない筈だ。探せ!』


碧さんは俺に5人の行った後を追えと指示を出した。

碧さんはリーダーらしき奴が居る4人の後を追った。





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