gardenquartz 小さな楽園
俺と碧さんは森と崖の境目で放送を聞いた。

森の中の至る所にトラップを仕掛けて置いたから、トラップに引っ掛かれば、ペイント弾が標的に当たる仕組みになっていたので、勝手に引っ掛かってくれれば、こちらの手を煩わせずに済む。


碧さんはジッと放送を聞いていた。


キャット達は無事らしい。
Twinsは点数が零…。

碧さんは親指を噛んで眉間にシワを寄せていた。
俺は碧さんの肩に軽く手を置いた。

Twinsもこの島の何処かで俺達を狙っている。
その間に何の関係も無い参加チームの連中がTwinsに殺られている。
只、奴等に出くわしただけで……。
碧さんはそれが許せないのだ。



命を何とも思わない奴等…。



しかし、今はゲームを進めるしか無い。


放送が終わり。
碧さんは崖の所を注意深く確認している。
崖に登れば、標的になったらお終いだからな。

人の気配は感じ取れない。
夜に見かけた奴等はもう居ないだろう。

しかし、何か痕跡が残っていないか、
見る必要がある。
俺と碧さんは前後に背中を向けて崖の坂道を上がる事にした。


碧さんが崖側、俺は森側に向いて進んだ。
崖のテッペンは少し広い場所で俺達が屈めば、下からは見えないので、屈みながら、碧さんは痕跡を調べていた。


碧さんが、ハッと何かを見つけたらしい。
俺は屈みながら碧さんに近づいた。
『何か分かったの?』


碧さんがニヤリと笑った。
初めて見る、碧さんの毒を含んだ笑みだった。

『ええ。見つけたわ。』

そう言って、碧さんは1つの足跡を手でソッとなぞった。

『昔、この靴の跡は私と同じ施設に居た奴が履く靴跡よ。ここに居た人物はとても頭の切れる奴らしいわね。きっと、私達がここに来ることは予想していたみたいね。』


そう言って突然碧さんは立ち上がった。
俺も立ち上がった。

そして、広場を見て、言葉を失った。


恐らく指で書いたのだろう、大きく文字が書かれていた。


【We'll win this game.】
《この勝負は自分達が勝つ》


碧さんは文字を足で散らし走って坂を降り始めた。
俺は慌てて碧さんに続いた。
碧さんの目付きが変わって笑みを浮かべている。




ソコに居たのは俺の知ってる碧さんじゃない。
1人のソルジャー、碧木だ。







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