gardenquartz 小さな楽園
アーサーはマーニーに苛ついていた。
マーニーは時々任務を放り投げて《獲物で遊ぶ癖》をするからだ。


アーサーも嫌いでは無いが、マーニーの幼稚なやり方が気に入らないのだ。


アーサーは森の木の上でマーニーの《遊び》を見て居た。
獲物がどの程度か見極める為だ。
マーニーは無邪気な笑みを浮かべて、ジョナサンが俺達に与えた【馬】が罠に引っ掛かるかどうかワクワクしながら待っていた。


アーサーはマーニーの罠に引っ掛かる様ならジョナサンの命令を無視するつもりだった。


『来た!!』

マーニーが囁く様に言った。



碧木は見事にマーニーの罠を見切った。
それに連れの奴まで罠に掛かるのを止めた。


『チッ!』
マーニーが舌打ちをして碧木目掛けてナイフを投げつけた。


そして、甲高い声で無邪気に笑った。


すると
碧木がマーニーの頭上に正確に発煙弾を打ち上げた。
マーニーは眉間にシワを寄せて天使の顔が崩れた。



その時、
アーサーは碧木を見た。
黒髪に青のメッシュ。
美しく整った顔は見覚えがある。

そうか。あの女か。ジョナサンはサラブレッドを寄越したか…。
アーサーは嬉しさに笑みを浮かべた。


久し振りに心から楽しめそうな獲物を与えたジョナサンに感謝しなければな…。


碧木達を逃したマーニーがアーサーの所に戻ってきて、アーサーが楽しそうに笑っているのを見たマーニーは不思議そうに見て言った。

『アーサー。あの馬を知ってるの?』


アーサーは微笑んだままマーニーの質問に答えた。

『あぁ。マーニー。ジョナサンは我々にサラブレッドを用意してくれたんだよ。』


それを聞いたマーニーは嬉しそうに言った。
『やったね。ねぇ。アーサー。ジョナサンの命令は少しぐらい破っても構わないよね?』



アーサーはフワリと地面に降り立つとマーニーの両肩に手を添えて優しく言った。

『マーニーはどうしたい?』


マーニーは悪戯っぽく答えた。

『ジョナサンに渡すのは傷をつけなきゃ良いんだから、無傷なら何でも良いんでしょ?』


アーサーはニッコリ笑って頷いた。


マーニーも天使の様な笑みを浮かべた。










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