gardenquartz 小さな楽園
俺と碧さんは岩場で食事をしながら辺りを警戒していた。


ペットボトルの水を飲み終えた時、
文字を見つけた。
修利の文字だ。

俺は、修利のメッセージを理解した。
【ADC】
Attention dangerous Cat


キャットに注意しろ…。



『碧さん。修利がキャットに気を付けろだって。』
俺はそう言って修利のメッセージを指差した。

碧さんが驚いて俺に理由を聞いた。
『何故?キャットは私達の仲間よ。』


俺は碧さんを真剣な目で見ながら答えた。

『理由は分からない。
でも、修利は人を見極める能力はずば抜けて良いんだ。
俺は連んでるからよく分かってる。
その修利がキャットは危険と判断したんだ。
悪いけど、俺は修利を信じる。』



碧さんは暫く考え込んで黙っていた。



そして、俺に言った。
『分かったわ。和樹の言う通りにしましょう。でも、尻尾を掴むまでは何時も通りにしてましょう。』



俺は頷いた。



修利は何故キャットを危険と判断したんだろう…。
俺は修利が残したメッセージを見ながら奴の判断基準を考えた。
確かにキャットは俺達の仲間だ。しかも、修利はキャットと長い時間一緒に居て、その時は何でも無かった。


別行動の間にキャットの何かを感じとり、それが危険と判断したんだ。


俺達にとって危険なのか?
それとも碧さんに対して危険なのか?





俺はハッとした。
…………………碧さんだ。


俺は碧さんには言わなかった。
碧さん自身も、理解している筈だ。
俺達より遥かに洞察力に優れている筈だから。


俺は急に碧さんを抱き締めたくなった。
碧さんはずっと緊張感と孤独感を背負ってきているはずだ。


碧さんは孤独だったんだ。


回り全部が信用できない中で
戦い続けてきたんだ。
それが、どんなに過酷な状況か今なら理解できる。


俺には修利が居る。
アイツを疑いもせず、唯一の仲間だ。
アイツに殺されても、俺はきっと笑ってられる。
修利も俺と同じ考えだろう。


碧さんには、人を信用した時点で、その事が死に繋がる。



孤独なんだ。





本当に孤独の中、独りで戦ってきたんだ。



そう思った瞬間。
俺は他の奴等と違うと碧さんに知って欲しかった。
孤独を和らげたい気持ちでいっぱいになった。








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