この探偵厄介すぎて困ってます!
あたし、今褒められた?
けなされた?
「で、そのアリバイを作ってまで隠したかった事と動機は?」
「君もせっかちだな。まずは流れだ」
はいはい
「君はいつもどおりその日の天気をチェックして彼に伝えに行こうとした。確か『天気予報』では晴れだったはずだ。
けど、出港直前に空を見上げた君は気づいた。
海の上に大きく浮かんだ、雷雲をね」
「でも、雷雨もなかったしそんなことひとつも‥‥」
「‥‥はぁ、話は最後まで聞きたまえ。雷雲を見つけた君は彼にこう言ったんだ『今日の漁には行くな』と。けど、彼は聞かなかったんだろうな。だから、殺したんだ」
「えぇ?そんな理由で?」
「彼女にとったら『そんな理由』ではなかったのだよ。駆け落ちをしたということは彼女には太郎しか家族がいない。
そんな人が今まさに荒波になるかもしれない海に出ていこうとしている。
それなら、いっそ自分がこの場で殺して自分も死のう。
そう考えたんじゃないのかね?」