空の彼方、想い焦がれる
先生を好きになったところで、何も変えることはできない。


だけど、私は先生であるその人にいじめられてる姿を見られたくなかった。



だから、笑うようにした。



避けられても、何をされても、もう何も考えないことにした。



なにかが吹っ切れた。中学二年生の秋頃の事だった。


それから、なくなったのかなんなのかはわからなかったけど、何も言われてないような気がしていた。



先生のおかげで、明るくなれた。


嫌なことから吹っ切れた。


中学三年生。



めぐみちゃんと、再び同じクラスになった。



めぐみちゃんには話した。先生のこと。



めぐみちゃんも、違う先生に恋をしていたらしい。


笑った(笑)



だけどめぐみちゃんが好きだった先生は、途中で結婚してしまった。



先生は、めぐみちゃんの気持ちに気付いていたようだった。


めぐみちゃんの気持ちがすごく伝わってしまって、辛くて仕方なかった。



その分、頑張らないと。



何をしたらいいかわからなかった。


だけど、先生の授業を頑張った。


部活を頑張った。


いっぱい笑うようにした。



先生をもうあんな顔させたくないと思った。



バレンタインにはチョコを頑張って作った。



引退してから、初めて告白した。手紙だったけど。



返事はいらないと書いたけど、やっぱり聞きたくて、部活が終わってから聞きにいった。



困っていた。



返事と言われても、言っても何も変わらんからなぁ...と。


それで、気持ちがわかった。ありがとうございますと伝えた。


ごめん、でも嬉しかった、と。



しばらくは泣けなかった。



だけど、自覚したあと、今までにないくらいに泣きじゃくった。



初めて告白した、初めてこんなに人を好きになった。守ってあげたいと思った。そんな恋は初めてだった。



勉強以外のことも教わった中学時代。



苦い思い出もなにもかも、思い返せば、とても貴重な経験ばかりで、卒業式は思わず泣いた。



もうこの制服を着て登校することはないんだ、先生の授業を受けることも、当たり前に会えていた友達とも会うことはないんだと思うと、いろんなものが溢れ出てきた。



3年間、ありがとう。そう言わずには言われなかった。義務教育の最後だった。
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