もし僕がロボットになっても
まぁ、僕は当然ながらそんな両親の言うことを聞いていた。だって僕はこの家族の一員ではない、他人の血をうけついで、他人の腹から生まれた紛れもない他人の子だからだ。
僕だけいつも無意識に他人を観察してはいい子を演じていた。施設から引き取られた日にはすでにそんな癖がついて、ぬけなかった。愛された記憶のない、愛されない子供。いくら愛を注がれても、信じることは一ミリたりともなかった。
そんな僕は、ある日学校でいじめに会った。
僕は昼休みの中、ざわめきが聞こえるグランドを背にして、校舎の裏にある、倉庫に呼び出された。
いじめっこ「おい、お前の家金持ちなんだろ？明日三万もってこねーとこれネットにばらまくからな。」
そういって僕の前に一枚の写真が出された。

そこには僕が家でのストレスを解消するためにやった、ちょっとした出来心で犯した軽犯罪だった。万引きだ。
ほしくもないプラモデルの部品をポケットに入れている写真だった。
いい訳が聞かない程に、動画も取られていた。
普通なら、こんないじめっこは無視するだろう。だけど僕は違う。無視できなかったのだ。
理由は、僕が他人の家で育てられていることだった。
他人の家で育ててもらい、しかも親は有名企業の社長だ。そんな両親の名前を汚すことは到底できそうもなかった。親父の顔に泥を塗る。そんなことは許される訳がなかった。
だから僕は度々両親の財布から何度もお金を盗んだ。
家中どこかを探せば金は出てきた。よく手をつけていたのは、父親の使う革製のブルガリの青い財布だった。かならず、札束が10枚づつ束になって入っていた。
< 3 / 128 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop