もし僕がロボットになっても
高校に入学した頃、こんなくそ真面目な僕にも友人ができた。
友人の名前はけんじ。僕とはちがって破天荒な生き方をしてきた。こんな名門校に通うくせに柄が悪い。しかもヤクザの息子だ。裏口入学で入ってきたらしい。
けんじはこんな僕とどことなくよく似ていた。

新しいクラスでみんなが打ち解けあう中、浮いていたのは僕とけんじ。
キャラクターは違うけれど、なぜか似ていた。
話しかけてきたのは、けんじの方からだった。

けんじ「なあ、次の授業移動一緒にしようぜ。」
そう話しかけてきた。

芝生がある渡り廊下を不自然な距離感を保ちながら、僕とけんじは行動をともにした。

けんじはヤクザの家系だからという理由で世間からは白い目で見られていた。
だからずっと強がって生きてきたんだろう。
言葉は乱暴だったけど、僕が誰かのせいで誤解されて先生に怒られそうになった日も、けんじはわざと廊下にある花瓶を割ったりして自分が怒られる隙に僕を逃がしたりしてくれたときもあった。けんじは僕にはないものを持ち合わせていた。
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