キミの空になりたい
さっきまで黒板を掃除していた、日直の涼子ちゃんが日誌を手にこちらを見ていた。
私が窓を開けているので、戸締りの確認ができないのだろう。
「あ、ご、ごめんね」
私は慌てて窓を閉めた。
「ううん。何か見てたのなら、閉めなくても大丈夫。見終わったらカギまで閉めておいて欲しいなって思っただけだから」
「あー、うん。もう大丈夫……」
カチャリと窓のカギを閉めて、私は笑ってみせた。
涌井君を見ていた事がバレていないか、冷や冷やして引きつっているかもしれない。
「そっか。じゃ、またねー」
「うん、バイバイ」
日誌をかかえて、涼子ちゃんは教室を出て行った。