キミの空になりたい


その涼子ちゃんの言葉に、ギュッと心臓がわしづかみにされたように苦しくなる。


彼が野球部所属……。


涌井君のエナメルバッグにぶら下がる、野球ボールのお守りが頭をよぎった。


まさか……涼子ちゃんが涌井君の彼女……?


もし、そうだったらどうしよう。


同じクラス内でそんな事があるって、思いつきもしなかったよ……。



「りょ、涼子ちゃん……。か、彼氏って……?」


「あれ?知らなかった?私、五十嵐君と付き合ってるんだよー」


「え?い、五十嵐君……?」


「うん、そう」



涼子ちゃんはエヘヘと頬を赤くしながら、照れたように笑った。


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