キミの空になりたい
第3章

必勝祈願



くるみの手伝いで、折った鶴を糸に通したけれど、やっぱりなかなか慣れない。


あの時も、何度か指に針を刺してしまった。



「いったぁ……」



今度もこれで3回目。


いい加減、学習しなよって自分で思う。


だけど、つなげたら完成なんだって思ったら、気持ち的に急いでしまうというか……。


作業をする手が気持ちに追いつかなくて、ブスッと指に針を刺してしまうという。


元々、裁縫が得意じゃないし、大変。



「……これで大変なんだから、あのお守りはもっと大変だったんだろうなぁ」



指にバンドエイドを巻いて、ため息まじりで呟いた。


くるみ達が作った、野球部員へのお守り。


それと同時に、涌井君のエナメルバッグで揺れる野球ボールのお守りが頭をよぎる。


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