キミの空になりたい
「……そんなの全然、情けない事じゃないよ。私だってコート内で足が震えちゃったもん」
「藤波さんも?」
「そうだよ。普通の事だよ。私、体育祭の前の日だって緊張するくらいなんだから」
ちょっと必死になっちゃったかもしれない。
言わなくていい事まで言っちゃった……。
「え?体育祭?」
「……うん」
「プッ……小学生と一緒じゃん」
……あ、笑った。
おかしそうに口に手を当てて笑う涌井君。
たったそれだけの事なのに、私は本当に嬉しかったんだ。
学校では、あまりそんな笑顔を見せてくれないから。
涌井君もこんな風に笑う事ができるんだ……?