キミの空になりたい


「……そんなの全然、情けない事じゃないよ。私だってコート内で足が震えちゃったもん」


「藤波さんも?」


「そうだよ。普通の事だよ。私、体育祭の前の日だって緊張するくらいなんだから」



ちょっと必死になっちゃったかもしれない。


言わなくていい事まで言っちゃった……。



「え?体育祭?」


「……うん」


「プッ……小学生と一緒じゃん」



……あ、笑った。


おかしそうに口に手を当てて笑う涌井君。


たったそれだけの事なのに、私は本当に嬉しかったんだ。


学校では、あまりそんな笑顔を見せてくれないから。



涌井君もこんな風に笑う事ができるんだ……?


< 129 / 341 >

この作品をシェア

pagetop