キミの空になりたい
「んじゃ、オレ行くよ。明日開会式あるし」
「……あ、涌井君!」
立ち去ろうとした涌井君を引き止めた私。
足を止めて、涌井君は振り返る。
「今まですごく頑張ってきた人に言う事じゃないかもしれないけど……。が、頑張ってね」
「……ありがとう、藤波さん」
思わずギュッとこぶしを作ってしまうほど、力が入った。
涌井君は片手をあげて、笑顔を残すと神社の鳥居をくぐって行ってしまった。
「……頑張って。力いっぱい応援するから……」
姿が見えなくなってから、誰にも聞こえないほどの声でつぶやいた。