キミの空になりたい


私はもう一度ため息をついてから、日陰に移動した。


その間に、グラウンドから練習着を身につけた野球部が続々と出てくる。


上級生のいなくなったグラウンドでは、1年生とみられる部員がトンボがけをしていた。



「汐音、お待たせー!」



時間をおく事なく、くるみが手を大きく振りながらこちらに走ってくるのが見えた。



「そんなに急がなくてもよかったのに」


「休みなのにわざわざ学校に来てくれたんだもん。待たせたら悪いでしょ?」



くるみがそう言って笑ったので、私もつられて笑った。


そして、持っていた紙袋を差し出す。


< 144 / 341 >

この作品をシェア

pagetop