キミの空になりたい
私はもう一度ため息をついてから、日陰に移動した。
その間に、グラウンドから練習着を身につけた野球部が続々と出てくる。
上級生のいなくなったグラウンドでは、1年生とみられる部員がトンボがけをしていた。
「汐音、お待たせー!」
時間をおく事なく、くるみが手を大きく振りながらこちらに走ってくるのが見えた。
「そんなに急がなくてもよかったのに」
「休みなのにわざわざ学校に来てくれたんだもん。待たせたら悪いでしょ?」
くるみがそう言って笑ったので、私もつられて笑った。
そして、持っていた紙袋を差し出す。