キミの空になりたい
球場の外に出ると、桃高の応援に来た人たちが固まって泣いている姿が目立った。
……負けたら、3年生は引退。
甲子園への道も終わりになる。
「涼子ー」
「綾美、おつかれー」
涼子ちゃんと辺りを見回していたら、可愛らしい声と共に、桃高の制服の子が駆け寄ってきた。
試合が始まる前に別れた綾美ちゃんだった。
「はー、やっぱり桃高負けちゃった」
「当然だよ。四葉台、誰が投げたと思ってんのよー?」
綾美ちゃんの言葉に、おどけたように返す涼子ちゃん。
ドクン……。
その時、私の心臓が大きく跳ね上がった。
なぜなら、綾美ちゃんが少し恥ずかしそうな顔をして、小さくうなずいたからだ。