キミの空になりたい


私もそちらを振り返る。


確かに涌井君の姿があった。


野球部はいったん集まった後、解散となる。


くるみが、私に気が付いて、こちらに走ってくるのと同時に、綾美ちゃんが野球部の集団の方へと駆け出した。


彼女に気が付いて、出迎えるように集団から離れたのは涌井君。



「あ、綾美ちゃんって、涌井君の彼女だったんだ……?」



バクバクとうるさくなる心臓を何とか抑えようと、平然を装うとする私。


涙がじわじわと浮かんでくるのもわかり、必死でこらえる。



「あー……元カノかな」



元カノ……。


あんなに可愛い子が、涌井君の元カノ……?


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